装置や電子機器の筐体(きょうたい:機器を収める外箱・ケース)にアルミ板金を使いたいが、軽量化と強度・放熱をどう両立すればよいか迷うことはないでしょうか。アルミ筐体は軽くて放熱性に優れる反面、設計の配慮を欠くと剛性不足や組立精度の問題につながります。この記事では、アルミ板金で筐体を製作する際の設計の勘所を、軽量化・放熱・剛性・組立性の観点から精密板金加工メーカーの視点で解説します。

アルミ板金筐体のメリット
筐体素材にアルミが選ばれるのは、次のような利点があるためです。
- 軽量: 比重が約2.7とステンレスの約3分の1で、可搬性や設置性に優れます。
- 放熱性: 熱伝導率が高く、発熱する電子機器の筐体やヒートシンクに適します。
- 加工性: 曲げ・絞りがしやすく、複雑な形状にも対応できます。
- 表面処理の自由度: アルマイト処理で耐食性・耐摩耗性・意匠性を付与できます。
素材としてのアルミとステンレスの違いはアルミ板金とステンレスの違いで詳しく比較しています。当社では屋外設置のアルミ筐体やアルマイト仕上げの精密ケースを製作しています。
放熱を考えた設計
アルミの放熱性を活かすには、設計段階で熱の逃げ道を確保することが重要です。発熱部品の配置と筐体形状を一体で考えます。
- 発熱部品を筐体壁面に密着させ、筐体全体を放熱面として使う
- 必要に応じてフィン形状や放熱用の開口(ルーバー)を設ける
- 板厚を確保して熱を面方向に広げる(薄すぎると局所的に高温になる)
放熱と防塵・防水は相反することがあるため、使用環境(屋内外・粉塵・水)に応じてバランスを取ります。屋外用途では耐食性も重要で、素材選定の考え方はアルミ材質の選び方もご参照ください。
軽量化と剛性を両立する
軽量化を狙って板厚を薄くすると、剛性不足でたわみやビビり(振動)が出ることがあります。アルミは同じ板厚ではステンレスよりたわみやすいため、形状で剛性を補います。
| 手法 | 効果 |
|---|---|
| 曲げ・フランジの追加 | 断面性能を高め、薄板でも剛性を確保 |
| リブ・ビードの成形 | 面の変形(たわみ)を抑える |
| コーナーの溶接・締結 | 箱形状全体の剛性を向上 |
| 補強板の部分追加 | 荷重がかかる箇所のみ厚みを補う |
薄板アルミの接合では溶接ひずみに注意が必要です。対策はアルミ板金溶接の難所で解説しています。

組立性・実装を考えた設計
筐体は単体で終わらず、基板や部品を組み込んで完成します。組立性を設計に織り込むと、後工程の手戻りを防げます。
- ネジ穴・タップ位置に工具が届く空間を確保する
- 接地(アース)やEMC対策が必要な場合は導通を確保し、アルマイト部は通電しない点に注意する
- 分解・メンテナンス性を考えたパネル分割にする
当社は板金加工から溶接・組立まで社内一貫対応のため、筐体の設計性と組立性を一体で検討できます。設計サポートや板金加工のページもご覧ください。
よくあるご質問
アルミ筐体に最適な板厚は?
用途・サイズ・放熱要求によって異なります。小型機器ではt1.0〜2.0mm程度、剛性や放熱を重視する場合は厚めを選びます。要件をお知らせいただければ最適な板厚をご提案します。
アルマイト処理した筐体でアース(接地)は取れますか?
アルマイト皮膜は絶縁性があるため、接地が必要な箇所はマスキングして導通部を残すなどの対策をします。EMC要件に応じて設計段階でご相談ください。
1台だけの試作筐体も依頼できますか?
可能です。試作1台から対応しています。詳しくは試作・少量生産のページをご覧ください。
アルミ筐体の板金加工はオーディーケーにお任せください
軽量化・放熱・剛性・組立性を踏まえた筐体設計から、試作・小ロット量産まで一貫対応します。お見積り・技術相談はお気軽にどうぞ。