「曲げたら割れた」——アルミ板金のトラブルで意外に多いのが、合金や調質の選び間違いによる曲げ割れです。アルミニウム合金は番号によって強度・加工性・溶接性が大きく異なり、材質選定は製品の品質とコストを左右します。この記事では、板金でよく使われるアルミ合金(A1050・A5052・A5083・A6061)の特徴と違いを比較表で整理し、用途別の選び方と、当社の製作実績で見る板厚と用途の実例を、精密板金加工メーカーの視点で解説します。

アルミ合金の番号と系統
アルミニウム合金は、添加する元素によって1000番台〜7000番台に分類されます。板金で主に使われるのは、加工性に優れる純アルミ系(1000系)と、強度と加工性のバランスがよい5000系、熱処理で高強度が得られる6000系です。
素材としてのアルミ全体の特性はアルミ板金とステンレスの違いで解説しています。ここでは板金でよく使う代表的な4つの合金を見ていきます。
板金でよく使うアルミ合金の特徴
A1050(純アルミ系)
純度99.5%以上の純アルミで、加工性・耐食性・熱伝導性・導電性に優れます。一方で強度は低いため、強度を必要としない意匠部品や、電気・化学用途に向きます。
A5052(Al-Mg系・汎用)
板金で最も多用される汎用合金です。中程度の強度と良好な加工性・耐食性・溶接性をバランスよく備え、曲げ加工にも対応しやすい万能タイプです。迷ったらまず候補になる合金です。
A5083(Al-Mg系・高強度)
5000系の中でも強度が高く、溶接性・耐食性にも優れます。大型のフレームや構造部材、溶接を伴う製品に適します。
A6061(Al-Mg-Si系・熱処理型)
熱処理(T6など)によって高い強度が得られる合金で、機械部品や構造材に使われます。ただしT6材は曲げで割れやすいため、曲げ加工が多い場合は調質や工程に配慮が必要です。
アルミ合金の比較表
4つの合金の特性を一覧にまとめます。用途に応じて優先する特性で選びます。
| 合金 | 強度 | 加工性(曲げ) | 溶接性 | 耐食性 | 代表用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| A1050 | 低 | ◎ | ○ | ◎ | 意匠部品・電気・化学 |
| A5052 | 中 | ○ | ○ | ◎ | 汎用板金・筐体・カバー |
| A5083 | 高 | △ | ◎ | ◎ | 大型フレーム・構造材 |
| A6061 | 高(T6) | △ | ○ | ○ | 機械部品・構造材 |
曲げが多い製品では加工性、溶接構造では溶接性と強度、というように、製品の作り方も含めて選定します。曲げの注意点はアルミの曲げ加工を、溶接はアルミ板金溶接の難所をご覧ください。

用途別の選び方
代表的なケースでの選定の目安を整理します。
- 軽くて加工しやすい意匠部品 → A1050
- 迷ったら/汎用の筐体・カバー → A5052
- 強度が必要な溶接構造・大型フレーム → A5083
- 高強度の機械部品(曲げ少なめ) → A6061
調質(O材・H材・T6など材料の状態)も特性に影響します。曲げが多い場合は軟質のO材、強度が必要な場合は調質材、といった選択になります。アルミ筐体の設計と合わせて検討する場合はアルミ板金筐体の設計もご参照ください。
当社の製作実績で見る板厚と用途
合金の選定と並んで重要なのが板厚です。当社で実際に製作したアルミ製品から、板厚と用途の対応例を紹介します。
| 板厚・形態 | 製品例 | ポイント |
|---|---|---|
| t1.0 薄板 | 装置カバー(400×350×250mm) | 軽量な箱型カバー。薄板TIG溶接は入熱管理でひずみを抑制 |
| t1.0 薄板 | 手術用具ケース(400×250×100mm) | アルマイト+シルク印刷。オートクレーブ滅菌に対応 |
| t2.0 | キオスク端末筐体(600×500×1350mm) | 人が触れる大型の自立筐体でも軽量に仕上がる |
| パイプ Φ42〜Φ60×t2.0 | 大型パイプフレーム(最大4.5m級) | 軽量高剛性の構造材。屋外設置用途にも対応 |
薄板になるほど溶接・曲げの難易度は上がるため、板厚は「強度に必要な最小限」と「加工の成立性」の両面から決めます。用途・数量をお知らせいただければ、合金・調質・板厚の組み合わせを当社からご提案します。
よくあるご質問
とりあえずどのアルミを選べばよいですか?
A6061は曲げられますか?
合金によって価格は違いますか?
アルミ板金加工はオーディーケーにお任せください
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