アルミ板金の試作は、1個から依頼できます。ただし、試作・小ロットには量産とは別のノウハウが必要で、対応の可否・品質・納期は加工先によって大きく変わります。この記事では、アルミ板金の試作・小ロット対応のポイントと、当社で実際に製作した1個モノの実例、依頼時に押さえておきたい点を、精密板金加工メーカーの視点で解説します。

アルミ板金の試作・小ロットが難しい理由
試作・小ロットは、1個あたりの段取り(材料手配・プログラム作成・治具準備)の比重が大きく、量産と同じ感覚では割に合わないことがあります。とくにアルミは溶接ひずみや曲げ割れなど素材特有の難しさがあり、少量でも技術力が問われます。
当社は試作1個からの小ロットに対応し、レーザー切断・曲げ・溶接・組立まで社内一貫で行うため、外注の往復による納期ロスを抑えられます。大型アルミフレームの製作事例など、少量・個別仕様の実績があります。
試作・小ロット対応のポイント
試作・小ロットをスムーズに進めるために、当社が重視している点を紹介します。
- 1個から対応: 試作・評価用の1個から製作します。
- 短納期: 社内一貫加工で工程間の待ちを減らし、短納期に対応します。
- 設計サポート: 作りやすさ・コストを踏まえた形状をご提案します。詳しくは設計サポートをご覧ください。
- 材料選定の提案: 用途に合うアルミ合金・板厚をご提案します。選び方はアルミ材質の選び方を参照ください。
当社で製作した1個モノ・小ロットの実例
実際にどのような1個モノに対応できるのか、当社の製作事例から3つ紹介します。いずれも単品・個別仕様でのご依頼です。
Φ900の球型治具(パイプ曲げ+機械加工の複合)
アルミパイプΦ30×t2.0を三次元的に曲げて外径Φ900の球体形状を構成し、t30のベース板を旋盤・マシニングセンタで切削加工した治具です。パイプ曲げ・レーザー加工・溶接・機械加工と工程が多岐にわたる1個モノでも、社内一貫のため工程間の寸法誤差を抑えられます。詳細はアルミ球型治具の製作事例をご覧ください。
4.5m級の大型アルミパイプフレーム
Φ42mmのアルミパイプで4,500×1,850×1,500mmの大型フレームを単品製作した例です。「他社では大きすぎて受けられなかった」「アルミ溶接を断られた」というご相談から始まる案件も少なくありません。大型ワークに対応する加工エリアと治具を備えているため、長尺・大寸法の1個モノにも対応できます。詳細は大型アルミパイプフレームの製作事例をご覧ください。
オートクレーブ対応のアルミ製手術用具ケース
外寸400×250×100mm・板厚t1.0のアルミケースを、設計からレーザー複合機加工・曲げ・カシメ・アルマイト処理・シルク印刷・組立まで一貫製作した例です。オートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)に耐える表面処理仕様など、用途要件から仕様を詰める試作にも設計段階から対応します。詳細はアルミ製手術用具ケースの製作事例をご覧ください。
このように「板金だけで完結しない」「サイズが特殊」「用途要件が厳しい」案件こそ、1個の試作でも社内一貫体制の差が出ます。

試作から量産までの流れ
試作は単発で終わらせず、量産を見据えて進めると後工程がスムーズです。一般的な流れは次のとおりです。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 試作 | 形状・寸法・機能を1個で検証 |
| 2. 評価・修正 | 課題を洗い出し、設計・工程を調整 |
| 3. 小ロット | 数個〜数十個で再現性を確認 |
| 4. 量産 | 治具・工程を整え安定生産へ |
試作段階で量産時のコストや加工性を見込んでおくと、量産移行時の手戻りを防げます。試作・少量生産の詳細は試作・少量生産のページをご覧ください。
依頼時に伝えるとスムーズな情報
お問い合わせの際に次の情報があると、見積もり・ご提案が早くなります。すべて揃っていなくても構いません。
- 用途・使用環境(屋内外、荷重、温度など)
- 希望数量(試作の個数、将来の量産予定)
- 希望納期
- 図面・ポンチ絵・現物・参考写真のいずれか
- 材質や表面処理の希望(不明な場合はご提案します)
図面がなくても、ラフなスケッチや現物からご相談いただけます。板金加工の依頼の流れは板金加工の依頼の流れでも解説しています。